ーーー 現在、どういった事業を展開されていますか?
私たちは「まちを作る、熱狂を作る」というパーパスを掲げ、不動産、建設、インフラといった、まちづくりの根幹を担う業界に特化した多角的な支援を行っています。
主力であるプロフェッショナル人材の紹介事業(エージェント事業)を軸に、業界の物語を紡ぐメディア事業「machi-zuku」、プロ人材のスキルシェア(steer pro)、さらにはスポーツチームとの連携を通じた地域活性化など、多角的にアプローチしています。
例えば、福島のバスケットボールチーム「福島ファイヤーボンズ」のスポンサーとして、被災地の子どもたちを試合に招待し、職業体験の場を提供する活動なども行っています。人材紹介はあくまで手段の一つであり、最終的にはソフト面も含めた「まちづくりの未来をデザインすること」をミッションとしています。

ーーー 事業を始めたきっかけと、現在までの歩みについて教えてください。
もともと、特定の分野で起業したいというよりは、自分の力で船を漕ぎ、「何者かになりたい」という経営者への強い憧れが原点にありました。2009年に最初の会社を立ち上げましたが、当時は売上を優先する代理店業務が中心でした。
転機となったのは2011年の東日本大震災です。当時仙台で被災し、自社の「自転車操業」のような状況を目の当たりにする中で、従業員の幸せも、顧客へのバリューも生み出せていない自分たちの事業のあり方に強い疑問を感じました。そこで一度起業の道に区切りをつけ、2013年からは東京の求人広告会社や人材紹介会社で会社員として経験を積むことにしました。
その後、ヘッドハンティングを手がける部署でたまたまアサインされたのが、建設・不動産領域でした。当初はこの業界に「きつい、汚い、危険」という古いイメージを抱いていましたが、実際に関わってみると、上流で都市を描き、人々が安心して生活できる空間を創り出すこの業界の重要性に深く感動しました。この価値ある業界を支援することにこそ自分の介在価値があると考え、2022年12月に現在のsteer株式会社を設立しました。
ーーー 現在向き合っている社会課題について教えてください。
私たちが向き合っているのは、社会基盤を支える建設・インフラ業界の深刻な労働力不足と、その背景にある「レガシーなイメージ」という課題です。
これらの業界は本来、高度な知識を必要とする知的労働であり、人々の当たり前の生活を支える非常に素晴らしい仕事です。しかし、世の中的にはネット業界などの華やかな分野にスポットライトが当たりがちです。土台を支えている彼らがもっと正当に評価され、若者が憧れるような魅力的な業界へと再定義していく必要があると感じています。
私たちのメディアや多角的な事業を通じて、この業界の人たちが「スポットライトを浴びる」機会を作ることが、ひいては持続可能なまちづくりに繋がると信じています。
ーーー 今後の展望についてぜひ聞かせてください。
「現在は売上の多くが人材紹介ですが、今後は人材という枠を超えて、地域スポーツの振興や自治体様との連携、さらには地域の事業を次世代へつなぐお手伝いなど、『まちづくり』という軸から派生する多様な役割をひとつずつ担っていきたいと考えています。
私たちが目指すのは、人材、メディア、スポーツ、そしてM&Aといった多様な事業が有機的に結びつくことで、地域全体が活性化していく仕組みづくりです。
ひとつひとつの課題に丁寧に向き合いながら、steerという会社を通じて、街に新たな活気が生まれる『仕掛け』をデザインしていきたい。 その積み重ねが、いずれ、まち全体の大きな熱狂に繋がっていく。そんな未来を描いています。」

ーーー ご自身は東北学院大学に在学中はどんな学生でしたか?
正直に言えば、あまり勉強熱心な学生ではありませんでした(笑)。ただ、自分が「熱狂できる場所」や「夢中になれるもの」を常に探し回っていました。
当時、親が商工会議所に勤務していたこともあり、地方企業の経営者の生き様を身近に聞いていた背景から、経営者への憧れは学生時代から根底にありました。そのため、学生同士でつるむよりも、社会に出ている経営者の集まりやイベントに積極的に足を運び、多様な価値観に触れるようにしていました。
また、アルバイトも一般的な飲食店ではなく、営業系の歩合制のものを選んでいました。自分の成果が正当に評価される厳しさと面白さを、社会に出る前に体験できたことは大きな財産になっています。
ーーー 将来スタートアップを目指したい学生に対してのメッセージをお願いします。
「準備が整ってから」と考えていると、一生準備は整いません。動き始めて初めてついてくるものがあります。特に学生のうちは、誰かの生計を守る責任が少ない分、何度でも失敗から学ぶことができる貴重な時期です。
「成功」には運やアートのような要素がありますが、「失敗」は科学することができます。若いうちに多くの失敗を経験し、それを分析して血肉にしていけば、将来的にうまくいく確率は確実に上がります。
もう一つ、事業を考える上で大切にしてほしいのは「関わる人に対してどのようなバリューを出せるか」をベースに考えることです。お金を追うよりも、価値のあるものを生み出すことを考えた方が、結果として後から売上はついてきます。迷ったらまずは一歩動き出し、自分の限界を決めずに挑戦し続けてください。
