2025年3月1日、東北学院大学(以下本学)五橋キャンパスにて、スタートアップ・エコシステムの構築を目的としたキックオフイベント「五橋インパクト」が開催されました。本イベントは、本学およびINTILAQ東北イノベーションセンター、仙台市及びみちのくアカデミア発スタートアップ共創プラットフォーム(MASP)との共催で行われ、郡和子仙台市長が登壇するなど、その注目の高さが覗えました。
イベントは二部構成で行われ、第1部では本学卒業生であり、「異彩を、放て。」をミッションに掲げる株式会社ヘラルボニー代表取締役Co-CEOの松田文登氏による基調講演。障がい者の作るアート作品を自身の経験を交えながら、「福祉とビジネスの融合による社会変革」についてお話いただきました。
松田氏は、幼少期から障がいのある兄と過ごす中で、社会が障がい者を「可哀そう」と見る風潮に違和感を持っていたと言います。従来、障がい者のアートは「啓発」にとどまりがちでしたが、ヘラルボニーではこれをビジネスとして成立させ、障がい者の才能を「異才」として社会に提示することを目指しています。
ヘラルボニーは、障がい者アーティストの作品を商品として企画、プロデュースし収入向上に貢献。障がい者の平均月収が16,118円という現状に対し、年収400万円を得るアーティストも誕生しています。 松田氏は、「障がい者」という言葉のイメージを変え、ヘラルボニーを社会の共通言語にすることを目指すとの力強いメッセージに、会場は大きな拍手に包まれました。
第2部では松田氏に加え、本学卒業生の中原絵梨香(株式会社キューテスト 代表取締役社長)さん、本学在校生の大原理花子(本学教養学部言語文化学科 3年)さん、酒井宏二(仙台市経済局イノベーション推進部スタートアップ支援課 課長)さん、本院常任理事の阿部重樹さんにもご登壇いただき、パネルディスカッションが行なわれ、大学発スタートアップの可能性や地域と連携したエコシステムの形成について、予定時間を30分ほど延長するほどの活発な議論がなされました。
参加者からは、
「経験に基づく話が多く、自分が変えるべきなのは環境なのだと感じた」
「宮城有数の大学が社会貢献を主導していることに感銘を受けた」
「障害という言葉に対する違和感に共感した」
「東京から来たが、社会性と収益性を両立するヘラルボニーの取り組みがすごい」
といった声が寄せられ、イベントの充実度を物語っていました。